2012年04月10日

平成23年事務職員能力認定試験第9問

第9問
支払督促について、正しいものはどれか。
1 支払督促発付前に当事者双方の審尋期日が指定される。
2 支払督促発付前に債権者の裁判官面談がある。
3 支払督促発付前に債務者からの書面による意見聴取がなされる。
4 書記官が書面審査にて支払督促を発付する。

【正解】


【解説】
支払督促は、債務者が債務の存在を争わないと思われる場合に、簡易迅速な手続で債務名義を取得するための手続です。民事訴訟法第7編に定められています。

1〜3 ちょっと条文を指摘して解説を書くのが書きづらいのですが、まず、債務者の審尋はありません(民事訴訟法386条1項。)。支払督促は書面審査だけで終わり、支払督促が発付されるまでは債務者は一切関与しません。また、裁判所書記官に申し立てるので、裁判官は関与しません。したがって、1〜3は不正解です。なお、「支払督促発付前に債権者の書記官面談がある。」ということもありません。

4 支払督促を発するのは裁判官ではなく書記官です(民事訴訟法382条)。新法になってから書記官の権限となりました。また、審尋がないことから書面審査のみで支払督促は発付されます。したがって、「4」が正解です。

posted by 弁護士宇野康枝 at 17:16| 東京 ☀| Comment(0) | 事務職員能力認定試験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月06日

平成23年事務職員能力認定試験第8問

第8問
少額訴訟について、正しいものはどれか。
1 訴額30万円以下の金銭支払請求に限る。
2 反訴を提起することはできない。
3 原告本人や被告本人の尋問はできない。
4 3回程度の審理を行って判決する。

【正解】


【解説】
 少額訴訟というのは、小規模な紛争について、一般市民が軽微な負担で、迅速かつ効果的な解決を裁判所において求めることができるようにすることを目的として平成8年に制定された新しい制度です。これは少額の訴訟について、原則として1回の口頭弁論期日で審理を完了し、審理終了後直ちに判決を言い渡し、かつ不服申立を制限するものです。訴額の上限は制定当時は30万円とされましたが、平成15年より60万円に引き上げられました。
1 少額訴訟が利用できるのは、訴額60万円以下の金銭の支払請求を目的とするものです(民事訴訟法368条)。ですので、60万円を超える場合、又は60万円以下であっても建物明渡等の金銭の支払請求を目的とするものではない場合には利用できません。

2 少額訴訟においては反訴を提起することができません(民事訴訟法369条)。これは反訴を許すと事案が複雑になり、迅速な解決が困難となるからです。

3 少額訴訟において、尋問は可能です。しかし、通常訴訟のように別途尋問期日を指定する、ということがありません。したがって、期日において当事者が出席し、尋問が可能であることが必要です(民事訴訟法371条参照)。

4 少額訴訟においては、原則として第1回の期日で審理を完了し(民事訴訟法370条1項)、口頭弁論の終結後直ちには判決を言い渡さなければなりません(民事訴訟法374条1項)。したがって、審理・判決が1回の期日で全部なされることになります。

posted by 弁護士宇野康枝 at 16:46| 東京 ☀| Comment(0) | 事務職員能力認定試験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月05日

平成23年事務職員能力認定試験第7問

第7問
民事訴訟の上訴手続に関する次の説明のうち、誤っているものはどれか。
1 控訴理由書を指定期限内に提出しない場合には、当然に控訴却下になる。
2 附帯控訴は、控訴審の口頭弁論終結時まで可能である。
3 上告状と上告受理申立は兼ねて1通で提出することができる。
4 判決正本の送達日の14日後が土曜日にあたる場合には、控訴状はその2日後の月曜日中に提出すれば控訴期間徒過にならない。

【正解】 


【解説】

1 控訴状に第1審判決の取消しまたは変更を求める具体的な記載がないときには、控訴人は控訴の提起後50日以内にこれを記載した書面(控訴理由書)を提出しなければなりません(民事訴訟規則182条)。しかしながら、この期限を徒過した場合に控訴却下になるという定めはありません。
他方、刑事手続においては、控訴は申立書の外に控訴趣意書を裁判所規則で定められている期間内に提出しなればなりません(刑事訴訟法376条1項)。これを怠ると控訴を棄却されます(刑事訴訟法386条1項1号)。刑事の控訴を民事の控訴の感覚でやると大変なことになるという典型例です。

2 附帯控訴は口頭弁論終結時まで可能です(民事訴訟法293条1項)。附帯控訴というのは、被控訴人が控訴手続を利用して、控訴審において、原判決を自己のためにも有利に取消し、または変更することを主張する手続です。原判決について両当事者とも文句があれば双方が控訴する双方控訴となるのが通常ですので、附帯控訴はあまり利用されません。どのような時に利用されるかといえば、例えば第1審では遅延損害金を年5分で請求していたけれど、よくよく考えてみれば年6分で請求しても認められる事案だった場合などです(私の体験談ではありませんよ。わざわざ書くとかえって嘘くさいでしょうか(笑)。)。第1審の口頭弁論終結前に気づけば請求の拡張をすればいいのですが、第1審の口頭弁論終結後に気づいたときにはもう拡張はできません。判決において、年5分の遅延損害金を付されて全面勝訴している場合には「本当は年6分で請求できたのに。」と思っても、控訴できません(敗訴部分がないから。これを「控訴の利益がない。」といいます。)。でも相手方が控訴し、自分が被控訴人となった場合には、附帯控訴して遅延損害金を年6分に変更することができるのです。これは、控訴人は控訴審において請求の拡張等できることとのバランスをとるためです。

3 上告と上告受理申立ては、厳密に区別され、上告理由を上告受理申立の理由とすることはできません(民事訴訟法318条2項)。しかしながら、上告の提起と上告受理申立てを1通の書面で行うことは可能です(民事訴訟規則188条)。

4 控訴は2週間以内に提起しなければなりません(民事訴訟法285条)。しかし、期間末日が日曜日、土曜日、国民の祝日、年末年始(12月29日から1月3日)までに当たる場合には、期間はその翌日に満了する(民事訴訟法95条)ということになっています。
posted by 弁護士宇野康枝 at 18:45| 東京 ☀| Comment(0) | 事務職員能力認定試験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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