2012年04月05日

平成23年事務職員能力認定試験第7問

第7問
民事訴訟の上訴手続に関する次の説明のうち、誤っているものはどれか。
1 控訴理由書を指定期限内に提出しない場合には、当然に控訴却下になる。
2 附帯控訴は、控訴審の口頭弁論終結時まで可能である。
3 上告状と上告受理申立は兼ねて1通で提出することができる。
4 判決正本の送達日の14日後が土曜日にあたる場合には、控訴状はその2日後の月曜日中に提出すれば控訴期間徒過にならない。

【正解】 


【解説】

1 控訴状に第1審判決の取消しまたは変更を求める具体的な記載がないときには、控訴人は控訴の提起後50日以内にこれを記載した書面(控訴理由書)を提出しなければなりません(民事訴訟規則182条)。しかしながら、この期限を徒過した場合に控訴却下になるという定めはありません。
他方、刑事手続においては、控訴は申立書の外に控訴趣意書を裁判所規則で定められている期間内に提出しなればなりません(刑事訴訟法376条1項)。これを怠ると控訴を棄却されます(刑事訴訟法386条1項1号)。刑事の控訴を民事の控訴の感覚でやると大変なことになるという典型例です。

2 附帯控訴は口頭弁論終結時まで可能です(民事訴訟法293条1項)。附帯控訴というのは、被控訴人が控訴手続を利用して、控訴審において、原判決を自己のためにも有利に取消し、または変更することを主張する手続です。原判決について両当事者とも文句があれば双方が控訴する双方控訴となるのが通常ですので、附帯控訴はあまり利用されません。どのような時に利用されるかといえば、例えば第1審では遅延損害金を年5分で請求していたけれど、よくよく考えてみれば年6分で請求しても認められる事案だった場合などです(私の体験談ではありませんよ。わざわざ書くとかえって嘘くさいでしょうか(笑)。)。第1審の口頭弁論終結前に気づけば請求の拡張をすればいいのですが、第1審の口頭弁論終結後に気づいたときにはもう拡張はできません。判決において、年5分の遅延損害金を付されて全面勝訴している場合には「本当は年6分で請求できたのに。」と思っても、控訴できません(敗訴部分がないから。これを「控訴の利益がない。」といいます。)。でも相手方が控訴し、自分が被控訴人となった場合には、附帯控訴して遅延損害金を年6分に変更することができるのです。これは、控訴人は控訴審において請求の拡張等できることとのバランスをとるためです。

3 上告と上告受理申立ては、厳密に区別され、上告理由を上告受理申立の理由とすることはできません(民事訴訟法318条2項)。しかしながら、上告の提起と上告受理申立てを1通の書面で行うことは可能です(民事訴訟規則188条)。

4 控訴は2週間以内に提起しなければなりません(民事訴訟法285条)。しかし、期間末日が日曜日、土曜日、国民の祝日、年末年始(12月29日から1月3日)までに当たる場合には、期間はその翌日に満了する(民事訴訟法95条)ということになっています。


posted by 弁護士宇野康枝 at 18:45| 東京 ☀| Comment(0) | 事務職員能力認定試験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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